私が通う語学学校に、一人のドイツ人女性がいる。
年の頃は40歳くらいだろうか。 彼女は生まれも育ちもドイツ。旦那も家族も親戚もドイツ人と いう生粋のドイツ人である。話すイタリア語もドイツ語訛り。 しかし彼女曰く、彼女はドイツ人ではなく「イタリア-ナ」なのだ そうだ。 最初は受け狙いか、イタリアが好きで、心情的にイタリア人だと 思いたいだけなのかと思っていたのだが、どうやらそうではないらしく 本気でイタリア人だと思っているらしい。 その理由というのは、ドイツに居た時に勤めていた会社で、 度々イタリアはヴェロ-ナを訪れていたからだ。という。 ハテナ? 先日も授業中にこの話しになり、先生と意見の噛み合わない やりとりを繰り広げていた。結局は先生の根負けで、「まあ、どうでも ええがな」ということで議論は終了。 彼女は、自分と旦那さんの両親が亡くなったのを機に「ドイツを捨て」 イタリアへ移住してきたのだそうだ。「ドイツでの人生は終わった」とも 言っていた。 私は日本人だ。 どこに住んでいようが、日本人であることに変わりはないし この事実は変わらない。イタリアでこの先暮らして行くことを選択したが、 「日本を捨てた」とは思っていない。 もしかしたら、彼女は祖国で祖国を捨てたくなるような出来事があった のかもしれない。祖国を捨てたくなるような事実。。。 ドイツで戦争している話しというのも聞かないし。。某国のような圧制が 行われているとも聞かないし。。。あとは何でしょう。 人生経験の浅い私の想像の域を超えた何事かがあったのかもしれない。。。 その昔知り合いがドイツに留学していた時、下宿先の大家のおばさんが 亡くなり遺品を整理していたら、彼女は戦時中に強制収容所で過ごした 体験を持つユダヤ人であることが分かったのだそうだ。 戦後はユダヤ人である事を隠し、ドイツ人として生涯独身を通し、ひっそりと 暮らしていたのだ。という話しをしてくれたことがある。 この大家さんは、戦前の恐怖体験から身分を隠していたのかもしれないが 自分がユダヤ人であるということを、自分の中でまで否定していたのだろうか。。。
by zefiro04
| 2004-10-27 20:27
| ひと
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